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大学生の頃。
私は、嘔吐恐怖症になりました。
もちろん、
「吐くこと」が怖かった。
でも、
それだけではなくて。
──────
少しでも胃が重い。
なんとなく、
お腹の調子がおかしい。
ちょっと気持ち悪い気がする。
そんな小さな身体の変化まで、
怖くなっていきました。
以前の私なら、
「今日はちょっと疲れているのかな」
「昨日食べすぎたかな」
そのくらいで受け流していたようなこと。
でも、当時の私は違いました。
「これって、吐く前兆なのかな」
そう考えてしまう。
──────
一度そう思ってしまうと。
そこから、
自分の身体ばかり気にするようになります。
お腹は大丈夫かな。
胃は変じゃないかな。
さっきより気持ち悪くなってないかな。
さっきより、
体調が悪くなっていないかな。
気にすれば気にするほど、
身体の感覚が大きくなっていく。
ほんの少しの違和感だったはずなのに。
いつの間にか、
「やっぱり気持ち悪い」
に変わっていく。
──────
そして、
それがまた怖い。
気持ち悪い。
↓
吐くかもしれない。
↓
どうしよう。
↓
もっと身体が緊張する。
↓
また気持ち悪くなる。
そんなことを、
ずっと繰り返していました。
だから当時の私は、
「本当に体調が悪いのか」
「不安でそう感じているだけなのか」
その区別すら、
分からなくなっていました。
──────
今振り返ると。
身体に何か大きな変化が起きていたというより、
身体の感覚を、
「怖いもの」として受け取っていた
のだと思います。
少しの吐き気。
少しの胃の違和感。
少しの動悸。
それだけで、
「何か悪いことが起きるかもしれない」
と思って。
最悪の未来を想像してしまう。
だから、
身体を休めるどころか。
身体をずっと監視していました。
──────
大好きだったお風呂も、
苦しくなって。
お風呂の扉を閉める。
密室になる。
すぐに外へ出られない。
すると、
動悸や吐き気が強くなる。
「大丈夫かな」
「気持ち悪くならないかな」
そう思っているうちに、
どんどん身体に意識が向いていく。
途中でお風呂を断念することも、
何度もありました。
大好きだったはずのものまで、
私を苦しめるものになっていました。
──────
食べることも同じで。
食べることが怖くなって。
食べる量が減って。
日に日に痩せていきました。
生きるために必要な、
「食べる」ということまで、
怖くなっていた。
大好きだった食事が、
恐怖へと変わって。
今考えると、
本当に苦しかったです。
──────
当時の私は、
「どうしてこんなに気持ち悪いんだろう」
とずっと考えていました。
でも。
今振り返ると、
気持ち悪いことが怖い。
↓
身体の感覚を気にする。
↓
少しの違和感にも気づく。
↓
「やっぱり気持ち悪い」と思う。
↓
さらに怖くなる。
そんな繰り返しの中に、
いたのだと思います。
──────
身体って、
不思議だなと思います。
怖いと思っていると、
心だけではなくて。
動悸がしたり。
胃がぎゅっとしたり。
食欲がなくなったり。
身体にも、
ちゃんと表れてくる。
だから、
「こんなに身体に症状が出ているんだから、
本当に何かおかしいんだ」
と、また怖くなる。
当時の私は、
そんなふうに感じていました。
──────
でもそれは。
怖いものから自分を守ろうとしていただけで。
弱い人間だからではなくて、
自分を守ろうとしていた結果だったと思います。
「嘔吐」という恐怖から逃れるために、
身体の小さな変化まで、
必死に探し出していただけで。
それだけ、
「吐くこと」が怖かったんだと思います。
──────
だからもし今。
少しお腹の調子が違うだけで、
「大丈夫かな」
「吐くんじゃないかな」
と不安になっている人がいたら。
その身体への意識も、
あなたが怠けているからでも、
大げさだからでもないと思います。
怖いものがあると、
人は、
小さな変化にも敏感になります。
私もそうでした。
──────
今でも、
体調が悪い日はあります。
不安になることもあります。
もちろん、
身体の不調をすべて不安のせいにすることはできません。
強い症状や長引く症状、いつもと違う変化がある時には、
医療機関へ相談することも大切だと思っています。
でも、
「少し気持ち悪い=必ず何か悪いことが起きる」
ではないんだと。
少しずつ、
思えるようになりました。
不安があっても。
身体に違和感があっても。
すぐに答えを出さなくてもいい。
「今日はちょっと調子が悪いのかもしれない」
それくらいで、
いったん置いておく。
昔の私には、
それができませんでした。
──────
あの頃の私は。
自分の身体を、
ずっと見張っていました。
少しでも変化がないか。
気持ち悪くなっていないか。
大丈夫なのか。
ずっと確認していました。
でも今思うと。
本当は、
身体を見張ることより。
身体と一緒に、
少し休んであげればよかったのかもしれません。
もちろん、
あの頃の私にはそんな余裕なんてありませんでした。
だから今は。
あの頃の自分に、
「怖かったよね」
と声をかけてあげたいです。
──────
嘔吐恐怖症になって。
身体の小さな変化まで怖くなって。
昔の私なら気にしないようなことまで、
気になって。
自分の身体を、
信用できなくなってしまうこともありました。
──────
もし今、
身体のちょっとした変化が怖くなっている方がいたら。
「こんなことで不安になるなんて」
と、
自分を責めなくて大丈夫です。
怖い中で、
毎日を過ごしている。
それだけでも、
十分頑張っています。
少なくとも私は、
同じように自分の身体を怖がっていた時期がありました。
そして今は、
少しずつ。
身体の変化があっても、
すぐに最悪の未来を想像しなくてもいい日が増えています。
「こんな人もいるんだ」
そう思ってもらえるだけで、
嬉しいです。
この場所が、
少しでも安心して息をつける場所になりますように。🌿



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