私を苦しめた、「予期不安」という存在

03. 嘔吐恐怖症

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大学生の頃。

嘔吐恐怖症だった私を、
一番苦しめていたものがあります。

それは、
「吐くこと」
そのものではありません。

──────

もちろん、
吐くことも怖かった。

でも、
私を一番苦しめていたのは。

「吐くかもしれない」
という不安でした。

──────

この不安には、
「予期不安」
という名前があります。

まだ何も起きていないのに、
悪いことが起きるかもしれない。

そう考えて、
強い不安を感じてしまうことです。

──────

私の場合は、
「気持ち悪くなったらどうしよう」
「吐いたらどうしよう」
「逃げられなかったらどうしよう」

そんな考えが、
一日中頭の中をぐるぐる回っていました。

──────

朝起きた瞬間から始まる。

今日は大丈夫かな。
気持ち悪くならないかな。
大学へ行けるかな。

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ご飯を食べる前も。

これを食べて、
具合が悪くならないかな。
食中毒にならないかな。
吐いたらどうしよう。

──────

外へ出る前も。

電車の中で気持ち悪くなったら。
教室で気持ち悪くなったら。
逃げられなかったら。

──────

お風呂に入る前も。

密室で気持ち悪くなったら。
裸のまま動けなくなったら。

──────

まだ何も起きていないのに。

私の頭の中では、
ずっと最悪の未来が再生されていました。

──────

そして。

予期不安の怖いところは、
不安そのものが、
身体の症状として現れることでした。

──────

当時の私は、

・動悸
・震え
・冷や汗
・吐き気

の症状が現れていました。

──────

吐き気を感じる。
↓
不安になる。
↓
身体の様子を確認する。
↓
さらに吐き気が気になる。
↓
もっと不安になる。
↓
さらに吐き気を感じる。

──────

そんな悪循環の中で、
毎日を過ごしていました。

──────

気づけば私は、
一日のほとんどを、
自分の身体の監視に使っていました。

──────

いつもより、

少し胃が重い気がする。
少し喉が変な気がする。
少しお腹が痛い気がする。
少し心臓の鼓動が早い気がする。

──────

普通なら気にならないような変化も、
全部、

「吐く前兆かもしれない」

に変換されてしまう。

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今思えば、私はずっと

“吐き気を探していた”

のかもしれません。

──────

そして。
今振り返ってみると。

私はあれだけ毎日怯えていたのに、
当時、
一度も吐いていません。

──────

食後も。
大学でも。
電車の中でも。
外出先でも。

──────

毎日、

「今日こそ吐くかもしれない」
と思っていました。

トイレの中で長時間過ごした日も、
何度もあります。

──────

でも。

その日は一度も来ませんでした。

──────

嘔吐恐怖症を発症した日から今日まで、
一度も吐いていません。

──────

あれほど怖がっていたのに。
あれほど警戒していたのに。

恐れていた未来が現実になったことは、
一度もありませんでした。

──────

それなのに。

当時の私は、
毎日苦しめられていました。

起きた出来事ではなく、

”起きるかもしれない未来”に。

──────

もちろん。

だからといって、
「考えすぎだった」
とは思いません。

──────

当時の私にとっては、
その恐怖は本物でした。

心も身体も、本当に苦しかった。

毎日生き抜くことに必死でした。

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「気にしすぎだ」
「気にしなければいい」
「未来のことなんてわからないんだから、考えても意味がない」

そんなことは、
当時の自分でも十分分かっていました。

──────

でも。

それができたら苦労しません。

──────

私は何度も、

考えないようにしよう。
忘れよう。
気にしないようにしよう。

そう思いました。

──────

でも、

考えないようにすればするほど、
余計に考えてしまう。

だから苦しかった。

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四六時中、付きまとう不安。

思うようにできない自分。

理想と現実のギャップ。

毎日泣いていた時期もあります。

──────

今振り返ると。

予期不安は、
私の世界を少しずつ狭くしていました。

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食べること。
外へ出ること。
電車に乗ること。
お風呂に入ること。

今まで当たり前にできていたことが、

少しずつ怖くなっていく。

少しずつできなくなっていく。

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当時の私は、

ただ一日を終えることで精いっぱいでした。

──────

でも今は思います。

あの頃の私は、
弱かったんじゃない。

怖い中でも、
毎日を生きようとしていました。

──────

もし今、
予期不安で苦しんでいる方がいたら。

「まだ何も起きていないのに怖い」

その感覚は、
決しておかしなものではありません。

あなたが弱いわけでもありません。

私は、そう思います。

──────

少なくとも私は、

同じように苦しんでいました。

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そして私の場合、

不安を完全になくそうとするより、
不安があっても少しずつ生活を続ける中で、
症状は少しずつ和らいでいきました。

──────

この症状がどう和らいでいったのか。
私が何をきっかけに少しずつ外へ出られるようになったのか。
それは、また別の記事で綴ろうと思います。

──────

「こんな人もいるんだ」
そう思ってもらえるだけで嬉しいです。

この場所が、
少しでも安心できる場所になりますように。

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