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嘔吐恐怖症に悩んでいた時期。
私は常に、
自分の体の状態を監視していました。
今日の体調は大丈夫かな。
お腹は大丈夫かな。
今、気持ち悪くないかな。
このまま大丈夫かな。
何か起きないかな。
──────
少しでも気になることがあると、
「大丈夫」かどうか確認したくて。
今は大丈夫。
でも、
本当に大丈夫かな。
さっきより、
気持ち悪くなっていないかな。
お腹は変じゃないかな。
身体に何か変化はないかな。
何度も何度も、
自分の身体を確認する。
──────
すると。
なんとなく、
気持ち悪い感じがしてきて。
「もし急に吐きそうになったらどうしよう」
そんなことばかり考えて。
不安が、
どんどん膨らんでいく。
そんな毎日を送っていました。
──────
少しお腹が動いた気がする。
なんとなく胃が重い気がする。
喉が少し変な感じがする。
そんな、
誰にでもありそうな身体の小さな感覚。
でも。
「これって大丈夫かな」
と思った瞬間から。
その感覚が、
ものすごく気になるようになる。
──────
お腹はどうかな。
さっきより気持ち悪くないかな。
吐き気はないかな。
本当に大丈夫かな。
もう一度確認する。
また確認する。
そして。
少しでも「変かもしれない」と思うと。
「やっぱり何かあるのかな」
と怖くなる。
──────
だから。
確認すればするほど、
身体から目が離せなくなりました。
普通なら、
気にしないような感覚まで。
「あれ?」
と思う。
その「あれ?」が、
また不安になる。
そして。
「もし吐き気だったら?」
に繋がって、なにも手がつかなくなる。
──────
そして。
「吐くかもしれない」ということが頭から離れなくなる。
もし急に吐きそうになったら。
もし今、
ひそかに吐き気が始まっていたら。
もし、このままどんどん気持ち悪くなったら。
そんなことを考えていると。
まだ何も起きていないのに、
本当に気持ち悪くなってくるような感覚がありました。
──────
そして。
また確認する。
「今は大丈夫かな」
「本当に大丈夫かな」
「さっきより悪くなってないかな」
確認して。
また気になる。
また確認する。
その繰り返し。
──────
私はとにかく、
「吐かない」という確信が欲しかった。
何度確認しても。
「絶対に大丈夫」
とは言えない。
だから。
また確認する。
──────
でも。
そんなものは、
いくら確認しても分かりません。
今は大丈夫でも。
この先どうなるかなんて、
分からない。
未来のことなんて、
誰にもわかりません。
だから。
「今大丈夫かな」
を確認しても。
少し時間が経つと、
「今はどうかな」
と、また気になって。
──────
そして。
気づけば。
一日の中で、
何度も自分の身体を確認していました。
朝起きて。
「今日、体調大丈夫かな」
出かける前に。
「今、気持ち悪くないかな」
電車の中で。
「大丈夫かな」
食事をして。
「このあと気持ち悪くならないかな」
夜になって。
「今日は大丈夫だったかな」
──────
どこにいても。
何をしていても。
自分の身体を、
どこかで気にしている。
そして。
少しでも違和感があると。
「大丈夫かな」
と不安になる。
──────
そして。
一度気になってしまうと。
そのことから、
なかなか離れられない。
「さっきは大丈夫だった」
と思っても。
「でも、今は?」
と考えてしまう。
「今は大丈夫」
と思っても。
「このあと急に吐きそうになったら?」
と考えてしまう。
──────
そんなことを繰り返していると。
いつの間にか。
「今、大丈夫か」
ではなく。
「この先も大丈夫か」
まで考えるようになっていました。
まだ何も起きていないのに。
これから起きるかもしれないことまで、
確認しようとしていた。
でも。
未来のことなんて、
確認できません。
だから。
いくら考えても、
答えが出ない。
──────
それでも。
答えが出ないからこそ、
また考える。
「大丈夫かな」
「本当に大丈夫かな」
「もし吐いたら?」
「どうしよう」
そして。
また身体を確認する。
これを、
永遠に繰り返していました。
──────
私は、
安心したかったんだと思います。
何か起きる前に気づきたかった。
吐く前に分かりたかった。
大丈夫じゃなくなる前に、
知っておきたかった。
だから。
ずっと自分の身体を
見張っていたのだと思います。
──────
でも。
身体を見張っていると。
ほんの小さな変化まで、
見つけてしまいます。
お腹が鳴る。
胃が少し重い。
喉が乾いている。
少し動悸がする。
疲れている。
そんなことまで。
「これは大丈夫?」
と考えてしまう。
──────
そして。
「もしかしたら、
吐き気かもしれない」
と思う。
すると。
その可能性が、
どんどん大きくなっていく。
本当に吐きそうなのか。
ただ気にしすぎているだけなのか。
自分でも、
分からなくなる。
──────
だから。
また確認する。
でも。
確認しても、
はっきりした答えは出ない。
「大丈夫」と思った数分後には、
また不安になる。
そんなことの繰り返しで。
──────
当時の私は、
とにかく苦しかった。
何をしていても付きまとう、
不安。
何をしていても付きまとう、
嘔吐への恐怖感。
私は何のために生きているのか。
何が楽しくて生きているのか。
それさえ、
分からなくなることもありました。
こんな自分が嫌になることも、
沢山ありました。
──────
でも今は。
あの頃の自分を、
あまり責めたいとは思いません。
だって。
それだけ、
怖かったんだと思うから。
「吐くかもしれない」
という怖さがあったから。
何か起きる前に、
なんとか気づきたかった。
自分を守りたかった。
──────
何度も確認していたのは、
私が弱くて、
心配性だったからではなく。
怖いものから自分を守ろうとしていたから。
今はそう思っています。
──────
そして、今。
少しずつ。
「確認しても、安心できるわけじゃない」
ということに、
気づいていきました。
確認すればするほど。
身体が気になる。
身体が気になるほど。
少しの変化にも気づく。
気づくほど。
「吐くかもしれない」と思う。
そして。
また確認する。
──────
確認することが、
不安をなくしてくれるどころか。
不安をどんどん大きくしてしまう。
それに気づいたことは、
私にとって大きかったです。
──────
だからといって。
「確認するのをやめよう」
と、
すぐにできたわけではありません。
怖かったから。
気になったら、
やっぱり確認したくなる。
何度も確認してしまう日もありました。
不安で動けなくなる日もありました。
──────
それでも。
少しずつ。
「今、確認しなくてもいいかもしれない」
と思える瞬間が、
出てきました。
身体が少し気になる。
でも。
すぐに答えを探さない。
「ちょっと気になるな」
くらいで、
そのままにしてみる。
──────
すると。
しばらく経ったら、
気にならなくなっていることがあって。
「あれ?」
と思いました。
さっきまで、
あんなに気になっていたのに。
いつの間にか、
別のことを考えている。
──────
その経験が、
少しずつ増えていきました。
「身体のことを確認し続けなくても、
時間は過ぎていくんだ」
と。
少しずつ、
思えるようになりました。
──────
もちろん今でも、
不安になることもあります。
でも。
昔のように。
一度気になったら、
ずっと確認し続ける。
ということは、
なくなりました。
──────
「大丈夫かな」
と思っても。
その答えを、
すぐに出さなくてもいい。
本当に大丈夫かどうか。
今は、
まだ分からなくてもいい。
未来のことなんて、わからない。
その時が来たら、考えればいい。
そんなふうに、
思うことができるようになってきました。
──────
あの頃の私は。
「大丈夫」という確信がないと、
怖かった。
だから。
何度も自分の体調を確認して。
でも。
何度確認しても。
大丈夫どころか、
不安が膨らんでいくだけでした。
──────
もし今。
何度も身体を確認してしまう方がいたら。
「今、気持ち悪くないかな」
「本当に大丈夫かな」
「さっきより悪くなってないかな」
そんなふうに、
何度も確認してしまう。
私も、
そうでした。
──────
そして。
確認しているうちに。
なんとなく気持ち悪い気がしてきて。
「もし急に吐きそうになったら」
と考えて。
どんどん不安になっていく。
そんな毎日を、
私も送っていました。
だから。
もし今、
同じようなことをしている人がいたとしても。
「どうして私は、
こんなことをしてしまうんだろう」
と、
自分を責めなくて大丈夫です。
それは決して、
あなたが弱くて、心配性だからではなくて。
怖いものから自分を守ろうとしている証拠だと思います。
──────
すぐに変われなくても、
大丈夫。
少しずつ。
「確認しなくても、
そのまま時間が過ぎることがある」
そんな経験が、
一つずつ増えていけばいい。
──────
私も。
ずっと自分の身体を監視していた時期がありました。
少しの変化も見逃したくなくて。
何度も確認して。
「大丈夫かな」と考えて。
それでも、
安心できなくて。
また確認して。不安になって。
そんな毎日でした。
──────
でも今は。
あの頃ほど、
自分の身体を見張らなくても。
毎日を過ごせるようになりました。
不安が消えたわけではありません。
「大丈夫かな」と思うこともあります。
それでも。
その答えを、
すぐに探さなくてもいい。
分からないままでも、
少しだけ先へ進んでいい。
そんなふうに思えるようになりました。
──────
もし今。
何度も「大丈夫かな」と確認している方がいたら。
私も、
同じように何度も確認していました。
そして。
確認すればするほど、
不安になっていました。
だから。
「こんな人もいたんだ」
と、
少しだけ思ってもらえたら嬉しいです。
すぐに変われなくても大丈夫。
少しずつ。
確認しなくても過ごせる時間が、
ほんの少し増えていけばいい。
この場所が、
少しでも安心して息をつける場所になりますように。
「大丈夫」を確かめるほど、不安になっていった
03. 嘔吐恐怖症


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